ゴールデンパールは直訳すると「金色の真珠」となります。ある地域で採れた金色の真珠を特にゴールデンパールと呼んできました。
① 概要
フィリピンは真珠の一大養殖地でもあります。そのため通常の純白の真珠のみならず、珍しい品種が町中のジュエリーショップで並んでいることでも有名です。
そんなフィリピン南西部からカリマンタン島(ボルネオ。マレーシアおよびインドネシア領)海域には、金色に光る白蝶貝「ゴールデンリップ」が生息しています。
このゴールデンリップから採取される金色の真珠がゴールデンパールです。
白蝶貝は水温の高い南洋の、真珠母貝の代表格です。日本のあこや貝と比べて非常に大型で、成長すると約30cmの大きさとなります。
この貝からは主にホワイト、シルバー系の大型真珠が採取されるのですが、ゴールド系の個体も生成されることがあります。
ここに着目し、フィリピンではゴールデンパールの養殖事業が近年始められていますが、実はゴールド色の真珠を作るのは結構大変。と言うのも、真珠養殖はなるべく白を目指して行われており、クリームがかったものは評価が落ちてしまう傾向にあります。
しかしながらゴールドはこのクリームが濃くなり、輝きを持ったもの。表裏一体なのですが、その加減が難しいのかもしれませんね。
また、貝に良質な生育環境を提供しなくては良い真珠はできないとされています。そのためフィリピンのゴールデンパール養殖場では、母貝を丁寧に扱うことを重要視しています。例えば栄養不足を防ぐために水中のプランクトン濃度を厳格に管理したり、真珠に不用意に穴を開けず大切に扱ったりと、繊細かつ厳重な管理下のもとに置いているのです。こういった環境を作ることは、きわめて大きなコストがかかってしまうものですね。
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加えて、養殖時の「核挿入」をしてから収穫に至るまでは、二年ほどもかかってしまうということ。フィリピン~カリマンタン島という限られた生息地しか持たないことから量産には向かず、真珠の希少種として大変高い価値を持つようになります。
とりわけゴールドが濃い個体は、全体のわずか数%程度の産出とのこと。
なお、インドネシアでもゴールデンパールの養殖が始まっていますが、世界的に見てまだまだ十分な養殖場数とは言えません。
近年では海洋汚染による養殖場への悪影響(変色や劣化など)なども問題となっており、今後ますますゴールデンパールの稀少性は高まりそうです。
② 特徴
ゴールデンパールの特徴は、なんといってもそのゴールド。色濃く出ているものほど上質とされ、再上質な色の珠は「茶金系」などと呼ばれることもあります。
また、白蝶貝は大型真珠が採れますが、必ずしも形がラウンドのみにはなりません。
ドロップ型やオーバル型、バロックなどのフォルムもしばしば見られます。
ネックレスやイヤリングなどのジュエリーで用いられることはもちろんですが、特別なパワーストーンとしても親しまれています。
「リッチ」「快適な暮らし」「上品」などを象徴するとして、他真珠とはまた違った価値を持っております。
確かにゴールドは縁起の良さを感じさせますね。
③ 日本のゴールドパール
真珠がゴールド系に色づくのは、その生成過程で真珠層に含まれるたんぱく質の色素が影響しています。そのためゴールデンパール用途の母貝でなくとも、金色の真珠が産出されることがあります。
日本でもあこや貝から「ナチュラルゴールド」と称される、美しく濃いゴールドを帯びた真珠が稀に見つかっています。しかしながら前述のように真珠の養殖は白を目指して行われています。これは日本ではより顕著なため、非常に稀有な存在。高い価格で売買されることとなります。
また、南洋でのみゴールドリップは生息する、と申し上げましたが、実は日本の奄美大島では養殖が行われています。
ただ、熱帯の貝であるゆえ日本国内の環境は適合しているとは言えず、半分程度の大きさのものしか育ちません。一方で気温が下がるゆえに長期間育てることができ、緻密な真珠層を持つ、テリが美しいゴールドパールが生成されています。