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食後高血糖で血管が「ボロボロ」になる

食後高血糖で血管が「ボロボロ」になる…ごはん、パン、麵類大好き人間を待つ「恐怖の結末」
 
2023年9月16日 12:00
PRESIDENT Online

糖質を制限しようとする人は多いが、問題は「摂り方」。血糖値の急上昇こそ、体内に活性酸素を発生させて身体に悪さをする。生活習慣病、血管、心臓などのエキスパートである医師・池谷敏郎さんは「いまや、心不全の患者数はがんのそれを超えているという推計もあります。血管にダメージを与えないような生活習慣、食生活を意識してほしい」という――。
※本稿は、池谷敏郎『完全版 最速で内臓脂肪を落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。


血管の老化が引き起こすさまざまなトラブル
血管の老化が引き起こすトラブルにはさまざまあります。


血管は加齢とともに老化しますが、それによって、動脈の血管壁が硬く厚くなって、弾力性を失った状態――これが「動脈硬化」です。

動脈硬化は、加齢に伴う生理的な要因のほか、血液中に「悪玉」といわれるLDLコレステロール中性脂肪が増えすぎたり、「善玉」といわれるHDLコレステロールが減少することで起こる脂質異常や、高血圧、高血糖、肥満、喫煙、運動不足、ストレスなど、さまざまな危険因子が重なることで、徐々に進行が始まります。

酸化ストレス(体内で活性酸素が過剰に産生され、それを消去する抗酸化防御機能とのバランスが崩れて酸化に傾いた状態)や、高血圧に伴う圧力などによって、血管壁の内壁を覆う血管内皮細胞が傷つきます。

血管内皮細胞は、血液と血管壁の間を隔てるバリアの役割をしているため、そのダメージによって血中のLDLコレステロールなどが血管壁内へと侵入します。


※写真はイメージです 写真=iStock.com/kazoka30
血管事故を引き起こす「天敵」
このLDLコレステロールが酸化されると異物(酸化LDL)となり、免疫細胞であるマクロファージに取り込まれて血管壁に蓄積されます。このようにして血管壁に柔らかい脂質を含んだ瘤(プラーク)が生じ、粥状動脈硬化が始まります。


プラークは血圧上昇などの刺激によって傷つきやすく、傷ついた部分には血栓(血の塊)ができます。そして、血栓は、瞬く間に大きくなって血管内腔を詰まらせたり、一部がちぎれて流され、より末梢の血管を閉塞してしまうことがあります。


厳密には「動脈硬化」にもいくつかの種類がありますが、心臓や脳などの太い動脈で起りやすく、血管事故につながるのが、この「粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)」で、一般に動脈硬化という場合は、この病態を指していることがほとんどです。


動脈硬化が進行する「全身の老化現象」
動脈硬化が進むことで、次のような全身の老化につながります。

・血行が悪くなり、肌や髪がボロボロになる
代謝が悪くなって太りやすくなる
・肩凝り、腰痛、むくみ、冷えなどの症状が現れる
・疲れやすくなり、姿勢が悪くなる
・病気がちになる
・脳に栄養や酸素が十分に送られず、脳の機能が低下する

話はこれだけでは終わりません。

厚生労働省の「人口動態統計」によると、2021年の日本人の死因の第1位は「悪性新生物(がん)」、第2位は「心疾患(高血圧症を除く)」ですが、心疾患による死亡率は年々増加しています。

 
とくに患者数が増加しているのが「心不全」です。心不全は医学的には病名ではなく、十分な血液を全身に送れなくなっている状態を指しています。

しかし日本循環器学会および日本心不全学会は、2017年に「心不全の定義」として、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と発表しました。心臓が悪いことを総合的に表現する言葉として、あえて「病気」と表現したのです。


心不全パンデミック」のリスク
「がん患者100万人時代」という言葉を聞いたことがある方もいると思います。しかし日本における心不全の患者数は、2020年時点ですでに約120万人と推定されており、がん患者数を超えています。


近年、医療関係者の間では、心不全患者数の急増を、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症パンデミックになぞらえて「心不全パンデミック」と呼び、不安視されているくらいなのです。

心不全が起こる主な要因には、高血圧や心筋梗塞などがあります。粥状動脈硬化が冠動脈(心臓に血液を送る血管)に発生すると、心筋に十分な血液量を送れなくなり、心筋が酸欠状態に陥って、命に危険が及ぶことになります。

心不全は死亡率と再入院率が高く、がんの「5年生存率」が約70%であるのに対して、心不全は約50%と、がんよりも低いのです。


血管にダメージを与える「サビ」と「コゲ」
私たちの血管にダメージを与え、老化させる「原因」についてさらに詳しく見ていきましょう。

体を老化させる主な要因は「酸化」です。また、「糖化は老化」という言葉があるように、「糖化」は私たちの体の細胞を酸化して障害することがわかっています。

「紫外線による酸化から肌を守る」とか、「糖化から体を守るエイジング対策」など、化粧品やサプリメントのキャッチフレーズで、みなさんにとってもお馴染みの言葉かもしれません。


※写真はイメージです 写真=iStock.com/kamontad123
サビ=酸化、コゲ=糖化
酸化は、古くなった自転車などにつく「サビ」を、糖化は、魚を焼きすぎたときなどにできる「コゲ」をイメージするとわかりやすいと思います。


サビは自転車のスムーズな動きを妨げ、コゲは魚のおいしさや栄養を損ないますが、サビとコゲは、私たちの体をつくる細胞にとっても同様の害をもたらします(コゲはがんの原因にもなるといわれています)。

そして、血管内で生じるサビやコゲが動脈硬化を進め、全身の老化を早めてしまうのです。


「血糖値の上昇」が悪さをする
問題は、どうなると体の中にサビやコゲが発生してしまうのか、ということです。血管内のサビやコゲの発生に深く関与しているのが「血糖値」の上昇です。

血糖値とは、「血液中に含まれるブドウ糖の濃度」を示すものですが、最近はダイエット関連用語として、広く知られるようになりました。

私たちが食事をすると、体内に「糖質」が取り込まれます。糖質とは栄養学的には、炭水化物から食物繊維を除いたもので、消化分解されると「ブドウ糖」に変化し、それが血管内に送り込まれることで血糖値が上がります。

血管内が「高血糖」状態になると、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉、脂肪組織に取り込んで、血糖値を下げるように働きかけます。

私たちの体は、本当に良くできています。


食後高血糖活性酸素動脈硬化を進行させる
ところが、運動不足や食べすぎによって「メタボ状態」になると、この優れた血糖コントロールのシステムに不具合が生じます。


蓄積した内臓脂肪から分泌される「生理活性物質」の悪影響や、ブドウ糖を取り込む筋肉量の減少にともなって、インスリンの効きが悪くなっていきます。


すると、糖質を多く含む食品を食べるたびに、コントロールが利かずに、食後の血糖値が急上昇する「食後高血糖」を繰り返すようになります。

食後高血糖は、血管内に過剰な活性酸素を発生させます。活性酸素は、酸化