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[社説]侵略と独裁を正当化するプーチン氏出馬


 
 
#ウクライナ侵攻 #ヨーロッパ #社説
2023/12/12 19:05
 
ロシアのプーチン大統領は8日、モスクワでウクライナ軍事侵攻に参加する軍人に勲章を授与した後、5選出馬を表明した=AP
ロシアのプーチン大統領が2024年3月に投票される次期大統領選に出馬すると表明した。圧勝での5選を演出し、ウクライナへの侵略と独裁体制を正当化しようとしている。

次期大統領選への出馬表明の場所に選んだのは、ウクライナ軍事侵攻に参加する軍人への勲章を授与する式典だった。軍人の支持を受けた出馬だと誇示し、侵略を正当化する狙いは明らかだ。

プーチン氏の出馬は既定路線で驚きはない。自ら提案した2020年の憲法改正で大統領任期の規定を変更し、5選を可能にした。国家体制の根幹をなす憲法を、権力維持のために変えるのは専制政治のやり方にほかならない。

ロシア大統領の任期は最長で2期12年で、プーチン氏は36年まで国家元首の座にとどまれる。2000年に始まった「プーチン体制」は世界でも類をみない長期に及ぶ。最大の目的は独裁体制を固めることにあり、再び改憲すれば「終身大統領」もありうる。

約3カ月間の大統領選に公正さは望むべくもない。政権は戦時下を口実に野党弾圧と言論統制を強化した。対立候補を選別し、有権者をあらゆる手段で総動員する。8割の得票を目標とする「政治ショー」にだまされてはならない。

大統領選の投票は、一方的に併合したウクライナの南部クリミア半島や東・南部4州でも実施する方針だ。ウクライナ政府が批判したように、占領地域での選挙は国際法違反だ。次期政権の正統性も疑問視されることになろう。

プーチン氏は大統領選で圧勝した後、中国など他の権威主義的国家と協力し、既存の世界秩序に対する挑戦を加速しようとするだろう。日米欧など自由民主主義国家は、これまで以上に結束して対抗していく必要がある。

気がかりなのはウクライナへの支援疲れだ。ドイツのキール世界経済研究所によると、各国が8月から10月に表明したウクライナ支援の総額は前年同期より87%減少した。欧米の支援が細る隙を突いて軍事と外交の攻勢を強めるロシアの戦略を許してはならない。

さらなる長期政権をめざすプーチン氏がすべきことは、和平交渉を望む民意を無視した侵攻の継続でも内政の締め付けでもない。占領地からの即時の全面撤退と国内の民主化にかじを切ることだ。国際社会もあらゆる手段を講じ、ロシアへの圧力を強めてほしい。